明治大正における魚鱗癬についての記述  その1

魚鱗癬についての情報は、大変少ないようです。
一つは、日本においては、患者が少ないこと、
もう一つは、有効な治療法がないこと、
この二点からでしょう。
それに反して、中国語では、大変情報が多く、
皮膚病関係の書物、インターネットなどでも、魚鱗癬が魚鱗病の名で、しばしば見られます。
これは、古くから中医学が発達していたことと、中国人には魚鱗癬が多い、ということに起因しているのでしょう。

国外での 魚鱗癬についての初めての記述
魚鱗癬についての、国外での記述の始めについて、私の知る限りでは、以下の通りです。

中国では、早くも、「金匱要略」(後漢の張仲景:2世紀)に、「肌膚甲錯、肌若魚鱗」(キフはこうさくし、はだはギョリンのごとし)との記述が現れています。

恐らく、これが世界最古の、魚鱗癬についての記述でしょう。

イスラム世界では、「アヴィセンナ(980~1037)」が始めて詳述した、と「皮膚病学(筒井八百珠先生著)1911(明治44年).5」にはあります。
西洋では、「ラーツェス氏(不明)」とこれまた「皮膚病学(筒井八百珠先生著)1911(明治44年).5」にはあります。

日本での 魚鱗癬についての初めての記述
それでは、日本ではいつごろから魚鱗癬についての記述があるのだろうかと思い、調べてみました。
結論から言いますと、今のところ分かりません。
しかし、意外な事に、明治時代の皮膚関係の書物に、多くの「魚鱗癬」についての記述を見つけましたので、幾つかを紹介します。
原文の多くは、古風で解りにくいので、原典の雰囲気を尊重しつつ、現代文に変えてあります。

注意
内容的には、古い時代のものであり、記述が正しいわけではありません。
また、魚鱗癬の治療法も書かれていますが、現在から見て正しい治療法というわけではありません
そうではあっても、資料があった方がいいでしょう。
何しろ、魚鱗癬についての資料が、あまりにも少なすぎますので、基礎資料として紹介します。
そのことを、念頭において、
   これから紹介する資料については、参考に止どめて下さい。

資料の出所はすべて、「国会図書館の近代デジタルライブラリー」からです。
これらは、本は、普通の書物であって、国会図書館にあり、電子化された物です。
ネット上の根拠のないものとか、何らかの意図を持った怪しい文書ではではありません。
「国会図書館の近代デジタルライブラリー」は、誰でも自由にアクセスできます。興味あるかたは、そちらも参照すると良いでしょう。ただし、読みにくいですが。

「通俗皮膚病顧問」 関藤治郎先生著、崇文館、 明治40.3 (1907) より

魚鱗癬 
本症は、元来母の胎内にあって、すでに発症しているものなのだが、多くは常に1,2歳にして発症する。
そして、始めは、四肢の伸展側に発生し、その皮膚はざらざらしていて乾燥し、かつまた落屑する。
これを単純性魚鱗癬という。
其の他、鱗の屑が厚く層をなしているもの、雲母状で光沢があるもの等がある。

その発生部位としては、四肢及び躯幹の伸展側を侵害することが、もっとも多い。
頭部においては、フケが出ることだけの場合ある。
また、子宮内魚鱗癬、あるいは胎児魚鱗癬というのもある。
本症は、春期発動期までは増進するが、それ以降、病状は、通常は停止する。
しかし、その形状は、退行するまでには至らない。

治療法:私(関藤治郎先生)は、まず 簡易な治療法として、温泉浴を勧めている。
      そのほか、普通に入浴して、鱗屑(りんそう)を除去するとよい。
      症状が局限している場合は、油剤緑石鹸(注:不明)を用いると良い。
処方:(1)レゾルシン 1.0g、グリセリン軟膏 50.0g
        患部に塗布する。
    (2)ナフトール  2.5g、ワセリン 50.0g
       ナフトールを適量のアルコールに溶解し、それをワセリンにまぜて混和して、軟膏にし、塗布する。

 
[魚鱗癬

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