万葉集にも、「アカネさす ムラサキ野ゆき 標野ゆき 野守は見ずや 君が袖ふる」と、うたわれています。
このムラサキは、紫根であろうと言われています。紫根は、薬としては勿論、染料としても用いられてきました。シコン(ムラサキ)は、その名の通りのムラサキと言うよりは、鮮やかな茜色にムラサキが少し入ったような綺麗な色です。
ヤケド、湿疹、丹毒、皮膚粘膜炎、凍瘡、下肢潰瘍、麻疹などに有効であると記されています。
ところが、紫根を用いた漢方薬は、意外と少なく、良く知られているものとしては、紫雲膏が有ります。紫雲膏は、のばすと実にきれいな色をしています。紫雲膏は、大変良く効く外用薬ですが、ほとんど、忘れられているのに近い状態です。残念。もっと広く使われていい薬だと思いますね。
江戸時代末期、漢方医 華岡清洲(世界で一番最初に、乳ガンの麻酔手術をしたと言われています)によって紫雲膏は、創成されました。紫雲膏は皮膚の異常細胞を除去し、新生を促す紫根と、これを助けて、皮膚の感作をやわらげ、なめらかにしてくれる当帰をゴマ油、豚脂、ミツロウで加熱抽出して製造されています。紫雲膏には、傷あと、瘢痕を残さずきれいに治す働きがあり、紫根と当帰の相乗効果により、多くの効能・効果が期待できます。
なかなか治らない皮膚病につかってもらうと、ビックリ、簡単に治ってしまう場合がよくあります。アトピー性皮膚炎などでは、紫雲膏をステロイド系軟膏と重ね塗りすると、ステロイドの副作用を抑えつつ、皮膚がキレイになります。
火傷にも良く効きます。
軟膏基剤として、ゴマ油を用いていますので、口の中に入っても、安全です。これほど、安全で効果のある、軟膏は有りませんね。実は、私自身は、紫雲膏を口内炎に用いています。口内炎用の、軟膏やB2B6剤よりも良く効きますよ。
要するに、紫雲膏は肌の異常を治し正常にしてくれるということです。
紫雲膏は、良く効く外用薬ですが、二つ欠点があります。一つは、赤い色をしているので、白い衣服などに付いてしまうこと。もう一つは、ゴマ油を使用しているので、ゴマのにおいがすることです。紫雲膏には、その欠点を上回る効果があります。また、ステロイド剤のような副作用はありません。
紫雲膏は、いくつかのメーカーから出ていますが、作り方、材料によって効果が違ってきます。昭和薬局では、信頼できる漢方メーカーであるウチダの紫雲膏を選んで、用意しています。
●「紫雲膏」…創傷性皮膚疾患の外用薬
効能・効果 ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外相、やけど、
痔核による疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎
使用方法 適宜患部に塗布するかまたはガーゼなどに展延し患部に貼付する
容 量 50g 1,732円
医薬品区分 第2類医薬品