当帰は、私の大変好きな生薬です。当帰の粉は、意外とおいしいですよ。
当帰のニオイをかぐと、多分なんかかいだことのある匂いだな、と感じると思います。
実母散や中将湯の主剤ですから、懐かしいと思う方もいるでしょう。
また、当帰はセリ科の植物ですので、セリのニオイにわずかに似ています。
このニオイに、薬効があるのです。
さて、この当帰は、婦人科系統に良く効く生薬で、昔から広く使われています。
『当芍散』をはじめとして、多くの漢方処方に用いられています。
処方名に当帰が入っている例を挙げますと:
『当芍散(当帰芍薬散)』、「芎帰調血飲(キュウキチョウケツイン)」、
「芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)」、「当帰飲子(トウキインシ)」、
「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)」、
「当帰湯」、「当帰建中湯(トウキケンチュウトウ)」」 など
処方名に当帰(帰)が含まれているのは、当帰を主としたものです。
処方名にはないのですが、当帰を含む処方は以下の通り。
「補中益気湯(ホチュウエッキ)」、「四物湯(シモツトウ)」、
「十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)」、「人参養栄湯(ニンジンエイヨウトウ)」、
「加味帰脾湯(カミキヒトウ)」、「滋陰降火湯(ジインコウカトウ)」、
「清暑益気湯(セイショエッキトウ)」、「五積散(ゴシャクサン)」、
「温経湯(ウンケイトウ)」、「通導散(ツウドウサン)」、
「女神散(ニョシンサン)」、「逍遙散(ショウヨウサン)」、
「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」、「滋陰至宝湯(ジインシホウトウ)」、
「竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)」、「温清飲(ウンセイイン)」、
「柴胡清肝湯(サイコセイカンサン)」、「荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)」、
「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」、「五淋散(ゴリンサン)」、
「消風散(ショウフウサン)」、「潤腸湯(ジュンチョウトウ)」、
「疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)」、「大防風湯(ダイボウフウトウ)」、
「薏苡仁湯(ヨクイニントウ)」、「抑肝散(ヨッカンサン)」、
「抑肝散加半夏陳皮(ヨッカンサンカハンゲチンピ)」、
「七物降下湯(シチモツコウカユ)」、「清肺湯(セイハイトウ)」、
「ロイルック」、「エッキ」、「パナパール」、「アクトマン」、
「サイロヤング」、「ホノマリア」、「アクマチック」などなど、広範囲にわたっています。
これを見ても、当帰が如何に優れた生薬かが、お分かりいただけると思います。
以上のはすべて内服薬です。
外用薬としては、「紫雲膏」。「赤色ワグラス軟膏」があります。
また、当帰を配合した化粧品もあります。